HUGのちから


この春のデトックスで寝込んでる間、いろんなこと思い出してた。


触れ合うということ。

それはハートのふれあいだったり、

体をタッチするということもふくめて。



わたしが短大に入学する直前の春休み期間に父が入院した。


わたしはそのとき、日本料理屋さんでアルバイトをしていた。

着物を着れるというのが、そこを決めた理由。

最初は教えてもらいながら、

しばらくすると、自分ひとりで着れるようになった。


40代50代くらいの人たちがたくさん働いてた。

学生バイトたちは、そのお姉さま方にもまれて働いてた、笑



そこには女将さんの役割の人が2人いた。

一人は、ご主人と娘さんがいて、のんびりどっしりした人。


もう一人は、元宝塚の男役。

見た目も華やかで身のこなしも宝塚そのもの。

その人は、舞台に立っているみたいに働いてた。

その人のプロフェッショナルな働き方とか、

堂々としたものに、わたしは圧倒されてた。

真っ赤な口紅が超似合ってて、かっこよかったな。

仕事って、自分の取り組み方でまったく違うものになるんだよ、

説教みたいなことは言う人じゃなかったから、

わたしはそのひとからそんな表現を感じ取っていた。


働き出してすぐに、父の具合がどんどん悪くなりだした。

わたしはそれに気づかないふりして、

バイトを続けてた。



あるとき、家にいた。ずっと付き添ってる母も珍しく家にいた。

洗濯物を干そうとしていた母が突然、言葉にならない声を叫びながら、その洗濯物がたくさん入ってるカゴを、わたしに投げつけた。

お母さんは不安と疲れでいっぱいいっぱいなんや。

わたしはバイトを休むことにした。



バイト先の人たちは深刻さもないわけだから、

休まれたら困るんだけど・・ってなった。

すると、その元宝塚のHさんがすぐに、

大丈夫だよ、落ち着くまで休んだらいい、

と言って上の人たちにも話をしてくれ、わたしは休めることになった。




そこからしばらくして父が死んだ。

いろんなことがバタバタと過ぎた。



学校にもそろそろ行かなくちゃいけない。

でもだれにも会いたくない。どんな顔して行ったらいいのか。



わたしは学校へ行くふりをして、

毎日いろんなところで時間をつぶした。



けどいつまでもこうしてるわけにいかない、

わたしは学校とアルバイトへもどることにした。




久しぶりに行くバイト。

お願いやから、お父さんのことは言ってこんといて。

そんなふうに思って身を固くしていた。

みんなが、大変だったね、と声をかけてくる。

受け答えしたくない。わたしはさらっと受け流した。



Hさんがあらわれた。

休ませてもらってたこと、なんか言わなくちゃ。

わたしはなんと言っていいのかわからなかったけれど、

なにか言葉をだそうとしていた。


近づいてきたHさんは、

ぎゅーっていきなりわたしを抱きしめた。

力強くおもいっきりまるごと。なんにも言わずにただ抱きしめてくれた。




わたしは我慢できなくて、

わんわん泣いた。



入院が決まってから父が死ぬまで、そして葬儀やさまざまなこと、

ずっとたくさんだれにも言えずに我慢してたいろんなこと、

傷ついてることをだれにも知られたくないという思い。



そんな緊張が、そのハグで溶けだしたんだろう。



ハグする

だれかに抱きしめられる

だれかを抱きしめる

そっと肩にふれる

自分を抱きしめる


触れるってダイレクトなことだから、自分がそのまんま出てしまう。


怖れもでてくるかもしれない。

それでも、

それらを超えてしまうほどの触れ合うことのすごさ。



(旧ブログより  2016-03-23 記)





あなた自身とつながるセッション



スタジオウーヌスのホームページ